ねじを使って試作品を作ったら簡単に緩んでしまった、どれぐらいの締結トルクを設定すればいいかわからない
そんな時に簡単に締結トルクを計算できたら便利なのではないかと思います
製造業で10年以上機械設計に携わって身につけたねじを使った簡易的な設計方法(締結トルクの設定方法)を紹介します
簡単に締結トルクの当たり付けをするには最適な設定方法ですので、ぜひチェックしてみてください
ねじの軸力計算
ねじを締めると『軸力』というものが発生し部品と部品を固定することができます
その軸力について解説します
軸力とは
ねじを回して締めていくとボルトが部品を挟みそれ以上ボルトを回そうとしても硬くて回らなくなってきます
このようにボルトで部品を締め付けると軸力というものが発生します
軸力のイメージ図をです
部品を締め付けた時にネジ部には下側に行こうとする力(赤矢印)が働き、ボルトの頭部分で下に行こうとする力を受け止めます(青矢印)
この時にねじの中間部分(黄色矢印がある部分)は上下方向に引っ張られます
これが軸力です
部品の締め付ける力に対する反力と力の大きさは同じです
設計的にはこの軸力という考え方が大切になります
軸力は計算で力の大きさを出すことができますので紹介していきます
軸力の計算式
軸力の計算式です
T=Fkd
- T:締結トルク[N•m]
- F:軸力[N]
- k:トルク係数(0.15〜0.2)
- d:ボルト呼び系[m](M6、M8など)
トルク係数はボルトやナット締め付ける部品の材料で変化します
詳細は『アルプス精工さんのトルク係数表』を参照ください
http://www.alpsseiko.co.jp/data/bolt%20no%20tukaikata%20p8-11.pdf
他に参考値があればそちらを使用して計算してみてください
ねじが緩まない設計
ねじで締めているものが外れてしまうと大惨事になる可能性があります
車のタイヤもねじで締めていますがはずれると大変危険です
なぜねじは緩むのかを考えていきましょう
ねじが緩む原因
ねじが緩む原因はたくさんありますが、締結トルクの不足や締めすぎで緩む場合が多いのではないかと思います
今回はトルク不足の場合を想定して解説します
ボルトを使って締め付けているのに部品に外力が加わり部品が滑って動いてしまい、その時にボルトも外れる方向に回ってしまうことがあります
イメージ図です
このような事象を防ぐためにどうしたらいいか考えていきましょう
緩むのを防止するには
先ほど紹介した通り部品が滑ることによって緩みが発生してしまいます
これを防ぐためにはボルトを締め付けて軸力を発生させ想定される外力よりもボルトの摩擦力を大きくすれば部品は滑りません
摩擦の式は高校の物理で出てくるもので計算できます
F=μN
- F:摩擦力
- μ:摩擦係数
- N:垂直抗力
ボルトの摩擦力を計算するときは垂直抗力に『軸力』を入れて計算し外力よりも大きくなるかを確認します
摩擦力が足りなければボルトを増やしていくことになります
特殊な組み合わせで締め付ける場合はできれば摩擦係数を実機で確認することをおすすめします
おわりに
機械設計をする上で機械要素であるねじは非常に重要な部品です
今回は機械設計の初心者の方やこれから始める方のために機械要素の紹介してきました
機械要素の基礎知識が身につくと機械設計をする上で設計検討の役に立ったり製品を設計する上で幅が広がります
しっかりと締結トルクの計算をしたいという方はこちらの本がおすすめですのでリンクを用意しました
かなり難しい内容になりますが、この本に沿って締結トルク計算をすれば間違いありません
この記事を読んで頂きありがとうございました
今日はここまでっ